1/19/2011

不登校のきっかけ(鬱病)

初めて体験した不登校の生徒の原因がこれでした。

小学校時代は、明朗活発で男女を問わず好かれ、スポーツ少年だったのですが、中学校に入学して2ヶ月目位から弁当を残すようになったそうです(その中学校は毎日弁当持参でした)
その他、学校生活では変わった様子は見られず、部活動も友人関係も良好としか思えませんでしが、徐々に朝の登校前に変化が現れていたようです。

いつもなら友だちが迎えに行くと、一緒に眠い目をこすりながら登校するはずなのですが、友だちが迎えに行っても「後から行くから、先に行ってて」ということが多くなり、そのうち登校しなくなってしまいました。
ご両親もなだめたりすかしたり、厳しく言ったりしたのですが一向に効き目がなく、登校前に腹痛を訴えたり、最も症状がひどい時は階段から故意に転げ落ちようとしたそうです(怪我をすれば登校しなくて済むので自分から階段を転げ落ちたらしいのです)

登校してしまえば午後からは絶好調で楽しそうに過ごすのですが、夜はあまり寝ようとしなくなったそうです。
理由は「寝ると朝が来て登校しなければならないから」。
あまりにも朝の状況がひどいので、保護者の方も強い言い方はできないようになり、欠席が続くようになりました。

ある時母親が登校したくない理由を尋ねてみると
「何となく中学校が暗く、冷たい感じがする」という漠然とした理由を話したそうです。学校生活に具体的な理由があったわけではなく、ただ単に小学校と雰囲気が違うので行きたくないというこことだったらしいのです。

全く症状が改善されないため、心療内科の先生に相談し、「鬱病」という診察結果でした。
医師の話では
「本人が登校しようとするまで、登校刺激は与えないほうがいい」らしいのです。
学校としても当然医師の判断を尊重して、登校刺激は一切与えず、いつも一緒に登校していた友だちに配布物を届けてもらう程度の措置をとったように記憶しています。

入学した1学期半ばから結局進級するまでその状態が続き、母親は最後は祈祷師にお願いするなど、精神的にもかなり追い詰められてしまったそうです。

2年に進級するといつの間にか登校し、後は卒業するまでほぼ無欠席で頑張ってくれました。

自分の周囲には鬱病を患っている方もいなかったし、不登校自体考えにくことだったため、私自身がもっとも考えさせられ、苦しんだ最初のお子さんでした。

鬱病は具体的な拒絶理由が本人ですらわからないため、周囲の人間にとっては理解に苦しむ面があるのですが、無理に刺激を与えることで本人を追い詰めることになり、最悪のケースに至る重い病であると思います。
どの時点でどのような判断を下すべきか、最も難しいケースではないでしょうか?

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