9/23/2012

友人関係のトラブルといじめ


いじめ有無判断難しく 中学生自殺


http://mytown.asahi.com/saitama/news.php?k_id=11000001209220003
(朝日新聞 埼玉)

小学生から高校生まで友人関係のトラブルはつきものであり、逆に言えばそれがないこと自体ありえないだろう。特に女子生徒の関係は流動的というべきか、昨日まで一緒に過ごしていたのが今日からは別のグループと行動しているとか・・・。
とにかく些細な事でくっついたり離れたりを繰り返すことが多い。

上記の新聞記事にも書かれているが、「無視されるようなこともあった」という情報や「孤立するような様子はなく、友人たちと仲良くしていた」ということは、「いじめ」という断定的判断は難しいかもしれない。

いじめであれば、心理的、物理的な攻撃が日常的にあり、その行為を見ている生徒がいたり、雰囲気を察知する生徒が多い。
聴取した子供たちから「いじめ」の事実が出ない場合、本人の感受性が非常に強く、思い悩んで発作的に死という選択をすることも考えられるが、通常は数日経てば友達関係が修復されて、「あの時の沈痛な面持ちはどうしたの?」と感じるほど朗らかに過ごしていたりする。

子供たちの自殺=いじめ が必ずしも成立するわけではない。

今の子供たちは、人との関わりが我々大人が思っている上に希薄なのかもしれない。だから軽いトラブルと大人が考えても、その価値観や自分の体験が判断の基準とならないこともある。ただ、生きていく上で他人と衝突したりする事は不可避であるし、それによって自分をコントロールしたり、対人関係を保つ術を身につける。
より繊細な心を持った子どもたちに接する場合、どの時点で大人たちが手を差し伸べるか、その判断は非常に難しい。

子供たちが死を選択してしまうケースが多く、理解に苦しむ反面、子供たちを育てる上で、教えるべき大事なことが欠落しているのではないか、本当に大切な何かを我々大人が失いつつあるのではないかと考えこんでしまう。

9/15/2012

楽な職務じゃないよ、校長


校長公募に1282人、橋下市長「すごい人数」


http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20120914-OYT8T00472.htm

年齢層は30代〜60代で学習塾経営者、電機メーカー役員、学校法人関係者、現職の市立校教頭もいたそうだ(しかも教頭は360人)

教育職に一度は就いてみたいと考えた人は結構多いのかもしれない。
塾経営者は学習指導のノウハウを活かしたいだろうし、会社役員は組織として学校を機能させたいと思っているだろう。学校法人関係者と現職教頭は学校の内部事情も知っています。
教職しか知らない人間が校長になるよりは、新鮮味があって少しはいいかもしれないですね。

でも校長職、本気でやるならこれほど辛い職務はないですよ。
校長とは、校長室の椅子に座って職員に指示するだけの仕事ではないのです。

田舎ののんびりとした学校なら学習指導を重点項目にして、様々な新しい取り組みができるだろうし、子供たちと触れ合って毎日が絶対に楽しいはず。

でも、都市部の学校はそうは問屋が卸しません。
様々な価値観を有した保護者がいるし、職員も数が多く組織としてまとまりにくい。おそらく小学校においては子供たちよりも職員の方が世話が焼けるだろうと思います。まず職員の我儘、だらしなさに閉口するでしょう。
校長が専制君主的に指導を強化すれば、校長に対する嫌がらせとして、校内で問題が起きた場合に最終的に彼らは校長に丸投げするかもしれません。←絶対にやりますよ、これ!「じゃ、校長先生がやってください」とか言って・・・。

例えば某いじめで有名になった荒れた中学校に赴任した場合、採用された校長は毅然とした態度で保護者、生徒らに接し、校長としての職務を十分果たすことができるのでしょうか?甚だ疑問です。
校長の裁量とか権限を強くしたとしてもそれは対職員の話だろうし、常識が通じない保護者には馬の耳に念仏状態です。

彼ら公募者の最大のネックは十分すぎるほどの生徒指導の経験が全くないことであり、それが最も心配です。これは現職教頭でも同じ(力のある教頭ならこれに公募したりせずとも、黙っていても校長に昇任できる)
校長として必要なのは、それまで培い、増やしてきた引き出しの多さと中身の充実さであるし、くぐり抜けてきた修羅場の数でもあると思うのです。

以前、公募して採用された校長先生が自殺されたことがあります。
そうなる大人がでないことを祈ります。

9/14/2012

わが子に嘘は通用しないよ!

夫婦は最も近い他人、でもその二人から生まれた子どもたちは、二人の血を受け継いでいます。だから、子どもたちは夫婦の微妙な雰囲気を無意識の内に察知するし、誤魔化そうと思っても無理なんです。無駄な抵抗はやめたほうがいいです!夫婦、家族、多少波風はあっても仲良くが基本です。

ーーー過去の事例ーーー
ある女子生徒、成績は優秀、お母さんも子どもの教育に熱心な人。生徒の自宅に電話するとその子の電話応対は学校の姿からは考えられないほど素晴らしい。
でも娘は学校で担任の男性教諭にやたら突っかかってくる。

担任教諭、なぜ自分に突っかかってくるのかわからず。

態度があまりにもひどいため直接本人と話してみたそうだ。
友達とか、家庭とか、部活とか・・・。特に問題もなさそうな状況に思えたのだが、ある単語にだけ異常に反応し顔色が変わった。
「離婚」
「一般的な話として、家庭の問題、例えば離婚・・・」と担任が話した瞬間に顔色が変わり、話をやめて退室してしまった。
担任としてそれ以上深入りできないと判断し話は終了。

翌年から担任も変わり、卒業となった。

しかし、事実が見えてきたのはその女子生徒の弟が入学して少し時間が経過してからだった。
とにかくその弟が荒れだした。豹変という表現がぴったり。
その姿は、学校で鬱憤を晴らしているかのように思えた。

直接話をしてみたが、素直で特に暴れることもない。話を素直に聞いてくれる。
その態度と荒れた時のギャップ、その理由がわからなかった。
でも彼、本養護教諭に本音を漏らしていた。
「あの男が家にくるのが嫌だ」

それはつまり父親ではない男性。

これを聞いた瞬間に姉の態度の謎が解けて、現在の弟の状況まで見事に繋がった。

おそらく相当以前から夫婦関係が崩壊していたのだろう。
母親の熱心さは、修復不能な夫婦関係への苛立ちを裏返したものだった。
姉はその雰囲気を察知し、母親のために一生懸命頑張った、だから心配をかけないように家ではきちんとしていた。でも彼女にもストレスの捌け口は必要であったし、それが父と同性の男性担任教諭に向いたのであろう。

しかし弟はそうはいかなかった。自分で昇華することができなかった。
母親に別な男性が絡んだため、さらに耐え難い状況に追い込まれたのだろう。
だから彼は家庭や学校で苦しい思いを別な形で発散した。

経験から、女の子よりも男の子の方が精神的に弱く、家庭の異変には敏感に反応しますし、自暴自棄になりやすい傾向が強いと思います。特に男の子は母親への思いが何故か強いため、母を苦しめる対象に牙をむいたり、それができない場合には外に向けてその気持を発散します。

家庭の問題、難しいです。
容易に他人が口出しできる問題ではありません。
でも家庭の中心に子どもたちがいれば、そうそう簡単に夫婦関係が悪くならないのではないかと思いますが、場合によってはそれでも尚且つ離婚という道を選択しなければならない場合もあると思います。
それはそれで仕方のないことであるし、その後の時間を大切にすればいいだけのことです。
子供たちの笑顔、夫婦の笑顔が絶えない家庭、そんな家庭であれば子供たちを苦しめることはありませんね。
「子は鎹(こはかすがい)」いい言葉だし、重い言葉でもありますね。

いじめの延長

いじめが後を絶たない。
下記は川越市の中学生がいじめにより意識不明となった事件。

川越・中学生意識不明 「いじめの延長」市教委謝罪
 http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/saitama/news/20120913-OYT8T01620.htm

記事の中で教育長はこう述べている。
「学校はけんかなどのトラブルは把握していたが、どうしてもいじめとしての認識を持つことができなかった。重大な傷害事件に至ってしまい本当に申し訳ない」

基本的に教育委員会は学校のことはほとんど知らない(市教委の生徒指導担当者ぐらいは各学校の問題生徒や問題行動を把握しているかもしれない)。
つまり、市教委というのはほとんどが事故が社会的問題になってから学校から聴取し、実態を知ることになる。
この発言で最も問題なのは「どうしてもいじめとしての認識を持つことができなかった」という点だろう。各学校の実態を正確に把握している組織ではないので、こういう表現しかできず、この表現で責任逃れをしていると思われても弁解の余地はないだろう。

担任教諭が過去に数回、「いじめられているのではないか」と生徒に聞いたが、その都度「大丈夫」と回答していたことを明かし、「ささいなことでも、その裏に根の深いことがないかというのを、教員が複数の目で確認し合うことが、現場の学校にとっては一番重要。いじめに気づけず申し訳ない」

担任が被害者本人に質問しているが、「大丈夫」と言われておそらく観察と指導の手を緩めているのだろう。
通常は本人と話をすれば間違い無く否定する。加害者たちも否定する。
しかしそのいじめを確実に見ている生徒がいる。
だから周囲からの情報を収集して裏付けを取らなければならないのである。

実は上記の説明には問題点が隠れている。
それは担任教師の生徒指導力と生徒たちからの信頼の欠如である。
もしもこの担任教師が指導力のある教師であれば、被害者に聞いた時点で本人からいじめの事実を聞く事ができただろうし、いじめに関係のない生徒たちからすでに情報が入っていただろう。
つまり、それが全くなかったということであれば、指導力不足で子供たちから信頼されていなかったことになる。

もう一つ、「教員が複数の目で確認・・・」と市教委が説明しているが、中学校の場合は教科担任制なので最低でも教科数分の教師が子供たちを観察している。
にもかかわらず、その当たり前の観察や指導ができないということは、学年および学校の生徒指導態勢そのものが崩壊しているということになる。
学校で最も大切なのは生徒指導である。その生徒指導という優しく、柔軟性があり、時には厳しさのある空間の中で授業や部活動、その他の活動が関わり合いないが機能しなければならない。

この学校にかぎらず、学年経営、学校経営、1からすべて見直す必要がある。
学校に本当の自省と自浄が必要であり、誰のための学校であるのか、教育組織が本気で取り組まない限り、いじめを含め諸問題が解決することは決してないだろう。

最後に意識不明のお子さんが回復されること、切に願って止まない。

9/13/2012

変質者被害が多くなる季節

まだまだ残暑が厳しいですが、朝夕は随分と秋めいてきた感じがします。

実は春と秋、児童生徒の変質者の被害が多くなります。
中学生の場合、新人戦が近いということもあり、部活動は7時近くまで実施していますので帰る時間帯は相当暗くなっています。

【露出による被害】
実際に起きた(指導で経験した)ケースは、明るい時間帯に起きた「露出」。
これは人通りが少ない通学路で、女子生徒が単独で帰宅する場合がほとんど。
車両内から「道を教えて」と声をかけ、女子生徒が近寄ると露出させてそのまま立ち去るというパターン。
生徒が車両のナンバーを覚えていることも多く、警察でも情報はかなり持っているように思います。
実際に被害にあった女子生徒は、警察署で数枚の顔写真を見せられたそうですが、いわゆる「面通し」ですね。

【車両に連れ込む被害】
最も怖いのがこのケース。
実際にあったケースとしては、部活終了後の生徒を車で尾行し、人気の少ない場所で腕を掴んで車に引きずり込もうとしたケース。
狭い道であったため、生徒が車両と反対方向に走り、学校に戻ってきたことがあった。
実はこの犯人、学校の敷地内に車両を停めて生徒を物色していたことが後に判明した。

中学生になると体力もあるため、相手を振り切ったりすることができるし、上のケースでは「車両の進行方向とは逆に逃げた」ことが大事に至らなかった理由だと思います。

しかし、もしも小学生の低学年の子供たちに同様のことが起こったら、うまく振り切って逃げることはできるでしょうか?
小学校低学年の場合には、日中であっても人気の少ない場所を一人で下校させるにはリスクが高いと思います。
友達と別れて一人になる、犯罪者はそういう子供たちを狙っています。

連れ込みの口実として子供(小中学生)たちが騙されやすいのは
「家族が事故で病院に運ばれたので、連れて行ってあげるから車に乗って」かもしれません。子供たちを精神的不安に陥れ、冷静に判断する余地を失う可能性が高いからです。

学校の指導は勿論のこと、各家庭においても被害例を話したり、どのように対処したら良いのか話し合う時間は必要だと思います。
その話し合いは、子供たちが被害に遭いそうになった時に思い出す可能性が非常に高いのです。

【参考リンク】
子供たちへの不審者による「声かけ」や「連れ去り」を防ぐ
http://allabout.co.jp/gm/gc/3642/


リポート:【今週のハイライト】凶悪犯罪から子どもを守れ!


http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/report/50/index.html

子どもを守る施策
http://www.npa.go.jp/hakusyo/h17/hakusho/h17/html/G3040400.html