6/29/2012

教え子の死

中学2年から卒業まで担任し、卒業後に単車の事故で死亡した生徒がいた。

能力的には非常に高く、市内のトップレベルの高校に進学できる学力を彼は持っていた。実際に中学2年時には定期テストで満点をとることがあり、その実力はクラスメートたちも認めていたほどだ。しかも、運動能力も高く、身長175cmほどでありながらバスケットのリングを掴めるほどの跳躍力があった。

その後中学3年になると不登校傾向が強くなった。深夜にゲームをし、生活時間帯が昼夜逆転してしまったために登校時間に起床できなくなっていたようだ。そして喫煙、しかも制服、背負カバンを背負ったままコンビニでセブンスターを購入するほどの常習。

進路を決定する際も登校せず、近隣の合格しやすい高校を選択したが不合格、その後予備校に行くとヤル気を見せたのだが挫折し、暴走族に入って事故で死亡してしまった。

この子について深く考えさせられたことは、入試の際、私が調査書の欠席日数と欠席理由(当時は「悪心」と書くことが多かった。更に一歩踏み込んで書くなら「怠学」)について事実を書いていなければ、もしかしたらこの子の死はなかったのではないか?ということだった。
事実を調査書に記載しないことは文書の偽造となるが、彼にとっては学力、能力的に見合わない高校で有っても、生きてさえいればいずれやりたいものを見出して彼本来の力を発揮でき、死という終止符を打たなくても済んだのではないか。

私は出張のため葬儀には参列できなかったが、後日訪問し、位牌の前で号泣してしまった。

そしてラストチャンスだった予備校入学。彼は自分から予備校に行くと父に言い出したらしい。
しかし入学時に寝坊、遅れて出席したが、いきなり予備校の教師に平手打ちを食らったそうだ。そしてその翌日から彼は1日も出席せず、結果的に暴走族に入って走りまくったようだ。

結果として、私と予備校講師、二人の対処ミスがこの子の人生を左右してしまったのかもしれない。
大人として、教師として本当に自分の対処で良かったのだろうか?そう思い悩む事がいまだにある。

6/07/2012

教育実習

大学生が教員の免許を取得するために実習がありますが、それが教育実習。

だいたい期間は3週間ほどのようですが、大学生の皆さんはほとんどの方が楽しい思いをされて学校に復帰するようです。
ま、稀に苦労して帰る人もいるとは思いますが(^^)

実習について思いつくままに・・・

まず実習生を受け入れる学校サイドとしては、実習生を受け入れるということが大変な負担となります。
大学で指導案の書き方等しっかり教わってくればいいのですが、ほぼ白紙の状態で実習を行う場合がほとんど。教える方とすれば結構しんどいというか、部活動終了後の少ない時間出指導しなければならないので大変なのです。
せめて指導案の書き方ぐらいは大学で事前に勉強してきてほしいし、大学の先生方もきちんと指導してほしいものです。

しかし生徒たちは実は大喜びです。
つまり生徒たちにとっては本当の先生ではなく、大学生のお兄ちゃん、お姉ちゃんが遊びに来たぐらいの感覚なのです。
だから年齢が近い分気軽に話しかけるし、特に日頃生徒指導上問題がある子たちが安らぎを求めて接近していく傾向が強いのです。
そういう子たちにとっては、ある意味「癒し」なのでしょう。

そうこうしている内に緊張感と楽しさがある実習期間が過ぎ去っていくわけですが、その楽しい経験=教員というわけではありませんので注意しましょう。
すなわちお互いに嫌な思いをせずに終了するのが実習期間であり、いざ正教員となるとそんなに甘い世界ではないのです。

生徒が一番触れてほしくない部分に触れて指導しなければならないのです。
お互いに感情的になったり、生徒から敬遠されることだって度々あります。
ノイローゼになる教員もいるし、最悪命を絶ってしまう人もいるのです。

安定志向だから教員や公務員が楽でいい、と思っている方も多いようですが、いざ実際に修羅場を経験してみるとそんなに楽な仕事ではありません。

おそらく現場に入ったら、大学で学んだことは殆ど役立たないと思うことが多いでしょうし、自分で悩み苦しみながら指導法を確立していくしかないのです。

教師は楽しいけど、とても大変な仕事なのです。