6/26/2013

専門に学んだ人間が犯しやすい勘違い

 子供たちに楽器を教えていると、「このぐらいはわかっているだろう」と思うことを、実は子供たちが全然わかっていないことが多い。

「この程度のことはわかっているはず、できるはず」

 これは専門に勉強してきた指導者に多く見られる傾向であり、自分の過去の経験と長い年月をかけて学んできた「いまの自分の視点」でしか見ることが出来ないことに起因する勘違い、思い込み。

 逆に初めて指導する人間は自分の経験がないために一生懸命学習する。
スタートラインは生徒と全く同じあり、指導する側としてとにかく本気で勉強する。教えてもらう生徒とすれば多少心許ない面もあるだろうが、真摯な姿勢で教師が共に学ぶ姿に不快感は感じないだろう。
その結果、数年の時を経ると専門に学んできた人間の指導力を遥かに凌ぐことがある。

 子供たちを目の前に指導する場合、まず自分ができなかった頃に立ち返ることが指導の原点となる。
「こんなことも知らないの?できないの?」と口にしたくなるかもしれないが、そこはグッと堪えて子供たちそれぞれの躓(つまず)きの原因を究明する。
具体的な躓き解消法を提示してあげれば、子供たちは思いの外すんなり問題を自己解決してくれることが多いし、次の壁にぶつかるまで意外に上達に時間がかからないものである。

 もう一つ、子どもたちの能力の限界を勝手に決めないこと!
音楽に関して言えば、子どもたちは楽器奏法の基礎を正しく学んでおらず、ほとんど独学であるということを前提にしなければならない。だから最初の数ヶ月は指導者が手間ひまかけて基礎をしっかり教えることが必須。
実はこの基礎段階は最も大切で、将来その子が音楽の道を目指した時に弊害にならないよう指導しなければならない(こう書かれるとプレッシャーがあるかもしれないが、事実でもある)。
この点についてはまた別記事で書きたいと思う。

 指導者が「いい演奏を!」と思っているのなら、子どもたちとともに学ぶ姿勢と自分ができなかった頃(初心)を忘れてはならないし、手間ひまをかけるべき時にしっかりかける、これが大切です。

 言うは易し、書くは易しで実際大変なことは重々わかる。
でも今の環境を与えてもらったことに感謝して頑張ろう、指導者諸氏(^^)

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