突然昔のことを思い出したので・・・
ある学校に赴任していた時のこと、2年生に「将来大物になるのではないか」と危惧されていた男子生徒がいた。
部活動の中心メンバーでもあったことから友だちへの影響力もあった。威圧して簡単に旧友をねじ伏せるだけの力は間違いなくあったと思う。
担任の先生(50代女性)二者面談、三者面談を通して指導を継続していたが、特に生徒自身に変化は見られなかった。
時は流れて卒業式後の謝恩会。たまたまその男子生徒の父親と話した。
失礼だとは思ったが、自分が疑問に思ったことを素直にぶつけてみた。
その疑問とは、あれだけ大物になると思われていたのにもかかわらず、その子がマイナス方向に成長せず、存在感が薄れるほどに大人しくなってしまった事についてだった。
話を聞き終えた時、理屈とか一般論で無難な方向へ誘導する教師の無力さを痛感したと共に、親が本気になった時の教育力(=愛情)に勝るものはないと思った。
私
「卒業おめでとうございます。息子さんえらく真面目に頑張っていましたね。途中から存在が感じられなくなるほど穏やかになっちゃいましたけど・・・」
父親
「先生、俺もあの頃は息子がこのままではとんでもない事になってしまうのではないか、と心配だった。」
私「じゃ、お父さんもかなり厳しい指導をしたのですか?」
父親
「いや、それはうちの息子には逆効果だと思ってやらなかった。だから当たり前のことを毎日やろうと考え、実践したんだ。」
私「毎日の実践とは一体何ですか?」
父親「恥ずかしい話だけど、俺はほとんど息子と一緒に食事を取ったことがなかった。朝は早めに仕事に出かけ、夜は一杯呑んで帰るので帰る頃には息子は寝ていた。だから朝と夜は必ず夕飯を息子と一緒に食べるようにしたんだ。」
私「他にもあるのですか?」
父親「いや、俺に出来るのはそれぐらいしかなかったので、それだけだよ、先生」
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